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各国の経済活動状況を表す統計データのことを、【経済指標】といいます。
それぞれの国の公的機関が定期的に集計・公表するデータを指します。物価・インフレ率・失業率・小売売上高・国内総生産などは景況を示す重要な経済指標となります。
そして、その発表内容が金融市場に大きな影響を与えるのです。各国の経済活動状況を表す統計データのことを、【経済指標】といいます。
経済指標を分析/読み取ることによって、世の中の景気を判断する際に大いに役立ちます。
経済指標発表直後の結果を受けて、日経平均株価・個別銘柄の株価~為替相場が大きく動くこともよくあります。
本稿で紹介する経済指標のうち、雇用統計や小売売上高とは一般的『米国内の統計』となります。一見、日本の景気に関係ない・・と考えてしまいそうです。
が、米国は経済規模が大きく~発表される数値そのものが『全世界の経済に大きな影響を与える』ことにつながります。日本も例外ではなく、『日本国内の《公的機関発表の数値など》だけで判断できない』…点をおさえておきましょう。
日本国内の経済動向を読み取る指標とは?
日本の経済指標には、
・【経済全体を総合的に示す指標】
・【企業の生産活動を示す指標】
・【家計の消費動向を示す指標】
などが数多くあります。『主となる経済指標』を共有していきましょう。
実質GDP成長率/内閣府/四半期 GDP(Gross Domestic Product=国内総生産)
ある一定期間内に国内で生産されたモノ・サービス等の付加価値の総額のことで、国の経済規模を表す経済指標です。
GDPには⇒「名目GDP」と「実質GDP」の2つがあり、名目GDPから物価変動の影響を除いたものが実質GDPとなります。
年末に、毎年多くの経済予測機関から翌年度の経済見通しが発表され、この際に利用されるのが実質GDPの成長率です。
景気動向指数/内閣府/毎月 景気動向指数⇒景気全体の動向を知るため、《産業》・《金融》・《労働》などの経済の側面を網羅した『30項目の景気指標を統合し、1つの指標にしたもの』です。景気動向指数には、景気を先取りして動く「先行指数」、景気と並行して動く「一致指数」、景気に遅れて動く「遅行指数」があります。
経常収支(黒字)/財務省/毎月 『国際収支の基準の1つ』
貿易・サービスや投資による日本と海外のお金の出入りを表しています。《貿易収支》・《サービス収支》・《第一次所得収支》・《第二次所得収支》から構成されています。居住者・非居住者間で行われる取引のうち、金融収支に計上される取引以外~債権・債務の移動を伴うすべての取引の収支状況を示します。
貿易収支(黒字)/財務省/毎月 輸出額から輸入額を差し引いた額のことです。輸出額が輸入額を上回る『輸出超過を貿易黒字』逆に『輸入超過を貿易赤字』といいます。貿易収支は『内外の景気動向、および外国為替相場の値動きで変動』します。
マネーストック(M2)/日本銀行/毎月 マネーストック
《一般法人》・《個人》・《地方公共団体》などの通貨保有主体(金融機関・中央政府を除いた経済主体)が保有する通貨(現金通貨/預金通貨など)の残高のことです。
集計する範囲により⇒4つの指標(M1・M2・M3・広義流動性)があり、M2とは通貨の範囲を“現金通貨”・“預金通貨”・“準通貨(定期預金等)”・“CD(譲渡性預金)”とし、『預金の預入先を国内銀行等に限定した指標』のことをさします。
鉱工業生産指数/経済産業省/毎月 鉱工業指数⇒『日本全体の鉱工業の動向を指数の形で示す統計』です。鉱工業のGDPに占める割合は“約2割”鉱工業の関連産業まで含めると“約4割”となり、日本の経済活動を広くカバーできるとされています。
鉱工業指数の種類には、《生産》・《出荷》・《在庫》・《在庫率》があり、そのうち『鉱工業生産指数は、日本の生産活動の状況をみて景気動向を探るヒント』につながります。
製造工業生産予測(当月)(翌月)/経済産業省/毎月 製造工業生産予測⇒製造工業に属する『主要品目の前月の生産実績から、当月および翌月の生産見込みを指数化したもの』のことです。製造業の先行き2ヵ月の生産見込みは、景気動向等の判断資料に利用されます。
短観大企業DI(製造業)/日本銀行/四半期 短観大企業DI⇒『企業の景況感を示す指数』をあらわします。(DI(Diffusion Index)=景気動向指数)
短観(企業短期経済観測調査) 全国の民間企業約1万社の企業経営者に対して、四半期ごとに実施される「最近」と「先行き」の収益を中心とした業況についてのアンケート調査で、短観大企業DIとは『資本金が10億円以上の企業について集計したもの』です。直接、各企業の経営者に業況感を問うマインド調査で、サンプル数も充分にあり、回収率も高く、注目度が高い指標であり⇒『株価や外国為替相場に大きな影響を与える』…といわれています。
短観大企業DI(全産業)設備投資/日本銀行/四半期 短観大企業DIのうち、『全産業における設備投資の意向を表す指標』です。各企業の経営者に業況感を問うマインド調査であり、サンプル数が充分にあり、回収率も高く注目度が高い指標であり、『株価や外国為替相場に大きな影響を与える』といわれています。
機械受注/内閣府/毎月 『主要機械等製造業者が対象で、それらの企業の受注額を集計した統計のこと』です。一般的に、株式市場において、特に設備投資関連の銘柄の株価動向を見る上で重要であり、『市場コンセンサスより良い場合は→株価の上昇要因、逆に悪い場合は→株価の下落要因』となることもあります。
企業物価指数/日本銀行/毎月 『企業間で取引される、商品の価格に焦点をあてた物価指数』のことです。従来の「卸売物価指数」に代わる経済指標であり、主に《国内企業物価指数》・《輸出物価指数》・《輸入物価指数》から構成されます。企業物価指数は、商品の需給動向に敏感に反映するため⇒景気判断の材料とされます。
実質消費指数/総務省/毎月 『国民の家計収支の実態を明らかにし→国の経済政策や社会政策を立案するために、全国の消費者世帯から抽出された約9000世帯を対象に“家計の収入や支出・貯蓄や負債の保有”などについて調査します。
実質消費支出はこの調査項目の1つで、『一世帯(家計)の、01ヵ月間の《食費》・《住居費》などの「生活費」への支出』をあらわします。
消費者物価都区部/総務省/毎月 消費者物価指数⇒『家計でよく消費するもの』・『長期間値段を調査できるもの』など、いくつかの条件をもとに、“500品目以上の値段を集計して算出される指数”のことで、CPI(Consumer Price Index)と略されることもあります。
タクシー代/クリーニング代といったサービスの料金も含まれています。「東京都区分」・「全国」の二種類があり、消費者物価都区部とは⇒「東京都区部」の消費者物価指数のことをあらわします。
百貨店売上高(東京)/日本百貨店協会/毎月
『東京都の主要百貨店の月間売上高』をあらわします。
百貨店売上高(全国)/日本百貨店協会/毎月
『日本全国の主要百貨店の月間売上高』をあらわします。
新車販売登録台数/日本自動車販売協会連合会/毎月 月間の新車販売台数(登録車→除く軽自動車)のことです。消費関連の指標の中で、速報性が高いため、『個人消費や景気のバロメーター』としても利用されます。一般的に自動車販売は『消費者の購買意欲や政策によって左右されやすく、また自動車産業は裾野が非常に広いため動向そのものは株式市場にも影響を与える』ことにつながります。
新設住宅着工戸数/国土交通省/毎月 『独立して居住できる住宅の着工戸数』のことをあらわします。一般に新設住宅着工戸数は⇒『景気の動向を知るうえで重要な指標』となっており、住宅着工の大幅な増減は⇒『建設・建材等の関連企業や、住宅購入にともなう買い替え需要が発生する家具・家電・インテリア等の消費にも多大な影響を及ぼす』ため⇒『GDP(国内総生産)を上下させる1つの要因』といえます。
有効求人倍率/厚生労働省/毎月 『月間の求職者数に対する求人数の割合(倍率)』のことです。有効求人数を有効求職者数で除して算出されます。
有効求人倍率の数値が《1より大きい場合は→“求職者数が求人数を上回っている”ことを示し、“1より小さい場合は→求人数が求職者数を上回っている”こと》を示しています。
完全失業率/総務省/毎月 『労働力人口に占める完全失業者の割合』で、完全失業者とは⇒「15歳以上で仕事についておらず、仕事があればすぐつくことができて仕事を探す活動をしていた人」のことをあらわします。
まずは、日本国内の経済指標~ご理解いただけましたでしょうか...
経済指標発表の結果を受けての、日経平均株価・個別銘柄の株価~為替相場が大きく動く要因も、少しでも認識いただければ幸いです。
多くの投資家が、主要国の経済指標をチェックしています。なかでもアメリカ合衆国の経済指標の結果は、『株式や外国為替を取引する世界中の投資家から注目』されており、発表時刻の日本時間深夜に→為替レートが大きく変動することもしばしばあります。
では次に、アメリカ合衆国の経済指標がマーケットに影響を与える理由/必ずチェックしておきたいアメリカ合衆国の経済指標とその概要を共有していきましょう。
アメリカ合衆国の経済指標が、重視される理由とは?
米国雇用統計/雇用関連
アメリカの労働省労働統計局(BLS)が『毎月発表する雇用情勢を示す指標』で→重要度が高い。
ADP雇用統計/雇用関連
アメリカで給与計算代行サービスを運営するADP社が『毎月発表する民間部門の雇用者数に関する指標』のこと。
FOMC声明;議事録/金融政策
連邦公開市場委員会(FOMC)終了後に『委員会全体の見解が声明文として示され、3週間後に話し合われた内容』などの詳細が議事録として公表される。
フェデラル・ファンド金利(FF金利)/金融政策
連邦準備理事会(FRB)がFOMCで発表する『金融政策の誘導目標とする金利で、実質的な米国の政策金利』にあたる。
国内総生産(GDP)/景気関連
米商務省の経済分析局(BEA)が『四半期ごとに発表し《速報値》・《改定値》・《確報値》に分けて公表』される。
ISM製造業景況指数/景気関連
米供給管理協会が『企業の購買担当者のアンケート結果を基に毎月算出する景況感』を示す指標。
貿易収支/貿易関連
米商務省の経済分析局(BEA)が『毎月発表する貿易統計(通関ベース)で示される貿易における、輸出額と輸入額の差額』で→経常収支の項目の一つ。
消費者物価指数(CPI)/物価関連
アメリカの労働省労働統計局(BLS)が『毎月発表するインフレ率を示す指標』。
小売売上高/消費関連
アメリカの商務省調査(センサス)局が『毎月発表する様々な形態の小売店の売上高』を示す指標。
個人消費支出(PCE)/消費関連
米商務省の経済分析局(BEA)が『毎月発表する、個人が消費した財やサービスの支出を示す』指標。
消費者信頼感指数/消費関連
米国の民間調査会社がアンケート調査をもとに→『毎月発表する個人消費の先行き』を示す指標。
鉱工業生産指数/製造業関連
米連邦準備制度理事会(FRB)が『毎月発表する、主に鉱業や製造業の生産動向を示す』指標。
住宅着工件数/住宅関連
米商務省が『毎月発表する、建設開始となった新築住宅の件数で→景気の先行きを示す』指標。
中古住宅販売件数/住宅関連
全米不動産協会が『毎月発表する→中古住宅の販売成立件数で、景気の先行きを示す』指標。
では、前述リストアップの主なアメリカ合衆国の経済指標の中から⇒『特に重視したほうがよい指標』について共有していきましょう。
米国雇用統計
米国雇用統計は『アメリカ合衆国の雇用情勢を表す最も注目度の高い経済指標』です。調査対象は広く、事業調査と家庭調査に基づいて算出⇒特に「非農業部門雇用者数」・「失業率」は雇用情勢を把握するうえで重要であるとされています。他「平均時給」・「週労働時間」を含めた10数項目が発表されます。これらのデータは『連邦準備理事会(FRB)の政策にも反映され、将来の政策への期待感から株式市場や為替市場に大きな影響』を与えます。発表数値が事前予想から大きく乖離することもあり、この性質から『発表直後は為替レートが大きく動く』ことが多々あります。
FOMC声明/議事録
連邦公開市場委員会(FOMC)とは⇒『FRBの理事7名と、地区連銀総裁5名で構成されているアメリカ合衆国の金融政策を決定する機関』のことです。FOMC声明は委員会終了後に公表され、「主に金利変更を含めた金融政策の変更や現在の経済状況、経済見通し」などが示されます。前回のFOMC声明と比べて経済見通しに関する文章のニュアンスが変化した場合⇒『相場が大きく動きやすく、市場で様々な思惑が交錯』することがあります。FOMC開催から→3週間後に公表されるのが《FOMC議事録》で、委員会の議論の中で個々のFRBメンバーが示した見解を知ることもできます。議事録での中で示されている『政策運営を巡る議論の内容が声明文よりもタカ派(強硬派)もしくはハト派(穏健派)である場合、市場参加者の思惑が交錯して為替レートも大きく動く』こととなります。
フェデラル・ファンド金利(FF金利)
フェデラル・ファンド金利は⇒連邦準備理事会(FRB)が「金融政策を運営する上で、FOMC会合で決定する誘導目標金利」で、《FFレート》とも呼ばれています。この誘導目標はアメリカ合衆国の政策金利にあたり、景気動向に応じて調節~国内外の市場にその影響が強く及ぶことから多くの投資家の注目を集めています。
国内総生産(GDP)
経済大国/アメリカ合衆国のGDPは⇒景気関連指標として国内外の注目を集めています。「速報値」→「改定値」→「確報値」の順で発表され、その中でも『特に速報値の発表タイミングでは為替レートが大きく動きやすく、GDP成長率が前期比で加速もしくは鈍化した度合いで経済状況を把握する』ことにつながります。『米国がくしゃみをすると日本は風邪を引く』というたとえ話があり、国際化の流れから「国境という壁」がなくなりつつある現状、世界をけん引していくアメリカ合衆国の景気は⇒『世界経済の状態を表している』といえます。
ISM製造業景況指数
全米供給管理協会(ISM)が→『全米の企業の購買担当者に“新規受注”や“在庫”・“生産”・“雇用”・“入荷状況”などの項目をアンケート調査し、これを基に算出する景況指標』のことです。購買担当者への調査という点ではマークイット(HIS Markit)が発表するPMI指数と同じですが、米国指標での先行指標としてISM指数の重要度が高いのです。景況感を0~100で表し→「50ポイントの節目を上回れば景況感が良く、下回れば景況感が悪い」と判断することができるのです。非製造業部門を対象とした「ISM非製造業景況指数」は注目度がやや下がるのですが、こちらも先行指標として注目を集めます。
消費者物価指数(CPI)
消費者物価指数とは『消費者が購入する物やサービスの価格変動を示す指標』をあらわします。インフレ状況を把握する際に最も重要となり、特に季節性要因を受ける生鮮食品を除いた→「コアCPI」は注目度が高いものです。一般的に『物価上昇に過熱感がある時は中央銀行の利上げ期待が強まり、逆に物価が下落する場面では利下げ期待が強まります』消費者物価指数が「前月比」や「前年同月比」で上昇基調なのか?、あるいは下落基調なのか?..に注目しながらチェックしたいものです。また、物価の変動を生産者側から測る指標として生産者物価指数(PPI)という指標もあります。
世界の基軸通貨【米ドル】
2019年⇒BIS(国際決済銀行)が発表した《通貨別の取引高データ》では、米ドルが取引高全体の約半分を占めており、経済大国アメリカ合衆国の米ドルが《基軸通貨》としての地位を確立していることがわかります。市場でもユーロ/米ドルや米ドル/円といった通貨ペア(ドルストレート)は取引量が豊富で市場参加者も非常に多い現状です。通貨ペアは、米ドルが直接絡む通貨ペアであることから、アメリカの経済指標の影響を強く受けます。また、米ドルが絡まないユーロ/円などのクロス円も、ユーロ/米ドルと米ドル円をかけ合わせて作られているため、米ドルと無関係というわけではないです。米ドルを介して取引されている点で、それぞれの通貨と米ドルの強弱が影響する場面もあります。世界的に注目度が高い、【米雇用統計】や【FOMC(連邦公開市場委員会)】で政策金利が発表される直後は⇒『為替市場が大きく動き、参加者の取引が活発になる傾向』となります。アメリカ合衆国の経済指標が注目され、重視される背景には、このような理由があるのです。
まとめとして
日本国内、そして世界経済の中心といえるアメリカ合衆国の経済指標が重要であり、どのような経済指標があるのか紹介してきました。
外国為替市場の中で⇒『経済指標は為替レートを動かす重要な要因の一つである』ことがご理解いただけたかと…。資産運用/資産形成をおこなっていく上で『経済データの特性/その意味を理解する』ことはとても重要で、ファンダメンタル分析を通して戦略や方向性を考えていくことでご自身の投資への幅も広がることとなるでしょう。また、経済データを相場の一つの要素として捉えることで あらゆるヒントがあるかもしれません。
2020年6月26日より オンライン面談/随時対応可能とさせていただいております。
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